Japanese NovelVisual Studio Code 拡張機能

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すべて縦書きのまま。

「Japanese Novel」は、無料のエディター「Visual Studio Code」を小説の執筆環境に変える拡張機能です。書いた文章はすぐ隣に縦書きで表示され、章をまとめて印刷用の HTML・EPUB・テキストの本として出力できます。記法は青空文庫の注記そのまま。原稿はただのテキストファイルです。

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 吾輩わがはいは猫である。名前はまだ無い。
 どこで生れたかとんと見当けんとうがつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣い
ていた事だけは記憶している。吾輩はここで始めて人間というものを見た。しかもあとで
聞くとそれは書生という人間中で一番獰悪どうあくな種族であったそうだ。この書生というのは
時々我々を捕つかまえて煮にて食うという話である。しかしその当時は何という考もなかったから
別段恐しいとも思わなかった。ただ彼の掌てのひらに載せられてスーと持ち上げられた時何だか
フワフワした感じがあったばかりである。掌の上で少し落ちついて書生の顔を見たのがい
わゆる人間というものの見始みはじめであろう。この時妙なものだと思った感じが今でも残ってい
る。第一毛をもって装飾されべきはずの顔がつるつるしてまるで薬缶やかんだ。その後ご猫にもだ
いぶ逢あったがこんな片輪かたわには一度も出会でくわした事がない。のみならず顔の真中があまりに
突起している。そうしてその穴の中から時々ぷうぷうと煙けむりを吹く。どうも咽むせぽくて実に
弱った。これが人間の飲む煙草たばこというものである事はようやくこの頃知った。
 この書生の掌の裏うちでしばらくはよい心持に坐っておったが、しばらくすると非常な速力
で運転し始めた。書生が動くのか自分だけが動くのか分らないが無暗むやみに眼が廻る。胸が悪
くなる。到底とうてい助からないと思っていると、どさりと音がして眼から火が出た。それまでは
記憶しているがあとは何の事やらいくら考え出そうとしても分らない。
 ふと気が付いて見ると書生はいない。たくさんおった兄弟が一疋ぴきも見えぬ。肝心かんじんの母親
さえ姿を隠してしまった。その上今いままでの所とは違って無暗むやみに明るい。眼を明いていられ
ぬくらいだ。はてな何でも容子ようすがおかしいと、のそのそ這はい出して見ると非常に痛い。吾
輩は藁わらの上から急に笹原の中へ棄てられたのである。
 ようやくの思いで笹原を這い出すと向うに大きな池がある。吾輩は池の前に坐ってどう
したらよかろうと考えて見た。別にこれという分別ふんべつも出ない。しばらくして泣いたら書生
がまた迎に来てくれるかと考え付いた。ニャー、ニャーと試みにやって見たが誰も来ない。
そのうち池の上をさらさらと風が渡って日が暮れかかる。腹が非常に減って来た。泣きた
くても声が出ない。仕方がない、何でもよいから食物くいもののある所まであるこうと決心をして
そろりそろりと池を左ひだりに廻り始めた。どうも非常に苦しい。そこを我慢して無理やりに
這はって行くとようやくの事で何となく人間臭い所へ出た。ここへ這入はいったら、どうにかな
ると思って竹垣の崩くずれた穴から、とある邸内にもぐり込んだ。縁は不思議なもので、もし
この竹垣が破れていなかったなら、吾輩はついに路傍ろぼうに餓死がししたかも知れんのである。一
樹の蔭とはよく云いったものだ。この垣根の穴は今日こんにちに至るまで吾輩が隣家となりの三毛を訪問す
る時の通路になっている。さて邸やしきへは忍び込んだもののこれから先どうして善いいか分らな
い。そのうちに暗くなる、腹は減る、寒さは寒し、雨が降って来るという始末でもう一刻
の猶予ゆうよが出来なくなった。仕方がないからとにかく明るくて暖かそうな方へ方へとあるい
て行く。今から考えるとその時はすでに家の内に這入っておったのだ。
吾輩は猫である
1 / 1
出力した本をそのまま印刷した結果です(夏目漱石『吾輩は猫である』・青空文庫より)

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ふつうに書くだけです。ルビや傍点は、青空文庫の注記で書き添えます。改行すると行頭に全角スペースが入り、「 で書き始めればそのスペースは自動で外れます。

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「プレビューを横に開く」で、原稿の横に縦書きの組み上がりが表示されます。ルビ・傍点・縦中横も改ページの目印も、入力するたびにすぐ反映されます。カーソルを動かすと、プレビューも同じ場所へ移動します。

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章を読む順に並べたものが、本です。「本の一覧」で章の追加や並べ替え、タイトルやヘッダーの編集がその場でできます。

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書いている間、原稿を静かに点検します。行頭の字下げや文末の句点など、指摘の多くは電球アイコンからその場で直せます。まとめて直すときは「自動修正できる問題をすべて修正(小説)」を使えます。

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「印刷/PDF 保存」を押すと、本がページ組版の縦書きでブラウザーに開きます。そのまま印刷でき、PDF にも保存できます。

電子書籍にするなら「EPUB に出力」。縦書き・右開きのまま読めます。投稿サイトへの受け渡しには「テキスト」。青空文庫形式で、既定は Shift JIS です。

作品名
小説: 作品名
作品名
本の情報
表紙
目次
第一章.jpnov
第三章.jpnov
第二章.jpnov
新しい章…
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テキスト
出力後に出力フォルダーを開く
第一章.jpnov1
プレビューを横に開く
第一章.jpnov
1 太郎《たろう》は、王都の門をくぐった。
2 石畳の道が朝の光に濡れている。
3「ここが、王都か」
4 背中の聖剣が重く感じられた。
5 覚悟[#「覚悟」に傍点]は、決まっていた。
6 受付の番号は42[#「42」は縦中横]だった。
7 鐘が二度鳴った。
8[#改ページ]
9 花子は王都の外れで待っていた。
10 ここから先はふたりで進む。
11「遅かったな」
12「道に迷った」
13 花子は笑って、先に歩き出した。
14 その背を追った。
15 王都の門が遠ざかっていく。
16 花子が振り返《かえ》った。
17 「行こう」
18 聖剣が朝日を受けて輝いた。
行頭が字下げされていません jpnov(lint.narration.indent)
問題の表示 (⌥F8) クイック フィックス... (⌘.)
クイック修正
行頭が字下げされていません
第一章.jpnov — プレビュー
1 太郎たろうは、王都の門をくぐった。
2 石畳の道が朝の光に濡れている。
3「ここが、王都か」
4 背中の聖剣が重く感じられた。
5 覚悟は、決まっていた。
6 受付の番号は42だった。
7 鐘が二度鳴った。
改ページ
1 花子は王都の外れで待っていた。
2ここから先はふたりで進む。
3「遅かったな」
4「道に迷った」
5 花子は笑って、先に歩き出した。
6 その背を追った。
7 王都の門が遠ざかっていく。
8 花子が振り返かえった。
9「行こう」
10 聖剣が朝日を受けて輝いた。
1 太郎たろうは、王都の門をくぐった。
2 石畳の道が朝の光に濡れている。
3「ここが、王都か」
4 背中の聖剣が重く感じられた。
5 覚悟は、決まっていた。
6 受付の番号は42だった。
7 鐘が二度鳴った。
改ページ
1 花子は王都の外れで待っていた。
2ここから先はふたりで進む。
3「遅かったな」
4「道に迷った」
5 花子は笑って、先に歩き出した。
6 その背を追った。
7 王都の門が遠ざかっていく。
8 花子が振り返かえった。
9「行こう」
10 聖剣が朝日を受けて輝いた。
1 太郎たろうは、王都の門をくぐった。
2 石畳の道が朝の光に濡れている。
3「ここが、王都か」
4 背中の聖剣が重く感じられた。
5 覚悟は、決まっていた。
6 受付の番号は42だった。
7 鐘が二度鳴った。
改ページ
1 花子は王都の外れで待っていた。
2 ここから先はふたりで進む。
3「遅かったな」
4「道に迷った」
5 花子は笑って、先に歩き出した。
6 その背を追った。
7 王都の門が遠ざかっていく。
8 花子が振り返かえった。
9「行こう」
10 聖剣が朝日を受けて輝いた。
0 10 行 10、列 21スペース: 4UTF-8LF小説
追加する章ファイルを選択OK
第二章.jpnov
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 太郎たろうは、王都の門をくぐった。
 石畳の道が朝の光に濡れている。
「ここが、王都か」
 背中の聖剣が重く感じられた。
 覚悟は、決まっていた。
 受付の番号は42だった。
 鐘が二度鳴った。
作品名 一
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ふつうに書くだけです。ルビや傍点は、青空文庫の注記で書き添えます。改行すると行頭に全角スペースが入り、「 で書き始めればそのスペースは自動で外れます。

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第一章.jpnov
1 太郎《たろう》は、王都の門をくぐった。
2 石畳の道が朝の光に濡れている。
3「ここが、王都か」
4 背中の聖剣が重く感じられた。
5 覚悟は、決まっていた。
6 受付の番号は42[#「42」は縦中横]だった。
7 鐘が二度鳴った。
8[#改ページ]
9 花子は王都の外れで待っていた。
10ここから先はふたりで進む。
11「遅かったな」
12「道に迷った」
13 花子は笑って、先に歩き出した。
14 その背を追った。
15 王都の門が遠ざかっていく。
16 花子が振り返《かえ》った。
17「行こう」
18 聖剣が朝日を受けて輝いた。
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1 太郎《たろう》は、王都の門をくぐった。
2 石畳の道が朝の光に濡れている。
3「ここが、王都か」
4 背中の聖剣が重く感じられた。
5 覚悟[#「覚悟」に傍点]は、決まっていた。
6 受付の番号は42[#「42」は縦中横]だった。
7 鐘が二度鳴った。
8[#改ページ]
9 花子は王都の外れで待っていた。
10ここから先はふたりで進む。
11「遅かったな」
12「道に迷った」
13 花子は笑って、先に歩き出した。
14 その背を追った。
15 王都の門が遠ざかっていく。
16 花子が振り返《かえ》った。
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1 太郎たろうは、王都の門をくぐった。
2 石畳の道が朝の光に濡れている。
3「ここが、王都か」
4 背中の聖剣が重く感じられた。
5 覚悟は、決まっていた。
6 受付の番号は42だった。
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1 花子は王都の外れで待っていた。
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4「道に迷った」
5 花子は笑って、先に歩き出した。
6 その背を追った。
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1 太郎《たろう》は、王都の門をくぐった。
2 石畳の道が朝の光に濡れている。
3「ここが、王都か」
4 背中の聖剣が重く感じられた。
5 覚悟[#「覚悟」に傍点]は、決まっていた。
6 受付の番号は42[#「42」は縦中横]だった。
7 鐘が二度鳴った。
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9 花子は王都の外れで待っていた。
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11「遅かったな」
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14 その背を追った。
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1 太郎たろうは、王都の門をくぐった。
2 石畳の道が朝の光に濡れている。
3「ここが、王都か」
4 背中の聖剣が重く感じられた。
5 覚悟は、決まっていた。
6 受付の番号は42だった。
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5 花子は笑って、先に歩き出した。
6 その背を追った。
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1 太郎《たろう》は、王都の門をくぐった。
2 石畳の道が朝の光に濡れている。
3「ここが、王都か」
4 背中の聖剣が重く感じられた。
5 覚悟[#「覚悟」に傍点]は、決まっていた。
6 受付の番号は42[#「42」は縦中横]だった。
7 鐘が二度鳴った。
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9 花子は王都の外れで待っていた。
10ここから先はふたりで進む。
11「遅かったな」
12「道に迷った」
13 花子は笑って、先に歩き出した。
14 その背を追った。
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1 太郎たろうは、王都の門をくぐった。
2 石畳の道が朝の光に濡れている。
3「ここが、王都か」
4 背中の聖剣が重く感じられた。
5 覚悟は、決まっていた。
6 受付の番号は42だった。
7 鐘が二度鳴った。
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1 花子は王都の外れで待っていた。
2ここから先はふたりで進む。
3「遅かったな」
4「道に迷った」
5 花子は笑って、先に歩き出した。
6 その背を追った。
7 王都の門が遠ざかっていく。
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電子書籍にするなら「EPUB に出力」。縦書き・右開きのまま読めます。投稿サイトへの受け渡しには「テキスト」。青空文庫形式で、既定は Shift JIS です。

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 太郎たろうは、王都の門をくぐった。
 石畳の道が朝の光に濡れている。
「ここが、王都か」
 背中の聖剣が重く感じられた。
 覚悟は、決まっていた。
 受付の番号は42だった。
 鐘が二度鳴った。
作品名 一
1 / 2

書き方

本文はふつうに書くだけ。
飾りは、青空文庫の注記で。

ルビや傍点を付けたいところにだけ、青空文庫の注記という決まった書き方を添えます。注記は、対象の言葉を後ろから指す前方参照型が基本です。範囲がわかりにくいときは前後ではさむ開始/終了型、複数行にわたるときはブロック型でも書けます。どの形でも仕上がりは同じです。

 物語《ものがたり》が始まる。
 |お茶の間《おちゃのま》へ届け。
 覚悟[#「覚悟」に傍点]を決めた。
 運命[#「運命」に波線]が動く。
 英雄《えいゆう》[#「英雄」の左に「ヒーロー」のルビ]の登場。
 第42[#「42」は縦中横]話、太字[#「太字」は太字]で。
「何だと!?」
 物語ものがたりが始まる。
 お茶の間おちゃのまへ届け。
 覚悟を決めた。
 運命が動く。
 英雄えいゆうヒーローの登場。
 第42話、太字で。
「何だと!?」
ルビ・両側ルビ・傍点・波線・太字・縦中横
  • ルビ(左側にも)
  • 傍点(九種)と傍線(五種)
  • 太字・斜体
  • 縦中横
  • 見出し(大・中・小)
  • 字下げ・改ページ

応募のために

本は、章を読む順に並べた
ただのテキストファイルです。

.jpbook には、本のタイトルやヘッダーと、章のファイル名を並べます。多くの新人賞で求められる表紙や扉、あらすじは、表紙に並べたファイルがそのページになり、本文の前に置かれます。表紙のファイルには、本の情報を差し込む注記が書けます。出力すると、その本の値が入ります。

作品名
ペンネーム
全2ページ
400字詰め原稿用紙換算2枚
「新しい表紙…」で作った表紙をそのまま出力したページ。内容は自動計算されます。
---
title: 作品名
author: ペンネーム
header: 作品名 一
pageNumber: right
pageNumberFormat: {page} / {totalPage}
cover:
  - 表紙.jpnov
---
第一章.jpnov
第二章.jpnov
第三章.jpnov
差し込むもの注記
タイトル[#ここに「タイトル」の値を表示]
ペンネーム[#ここに「ペンネーム」の値を表示]
総ページ数(本文のページ数)[#ここに「総ページ数」の値を表示]
原稿用紙換算枚数[#ここに「原稿用紙換算枚数」の値を表示]

原稿用紙換算枚数は、本文を 400 字詰め原稿用紙(縦書き 20 字 × 20 行)に組み直したときの枚数です。

組版

既定は 40 字 × 34 行。
和文組版の約束事は、最初から。

行の頭に句読点が来ない、行の末尾にかぎ括弧の開きが残らない。禁則処理は既定で「厳格」です。行末の句読点はぶら下げで処理します。字数・行数・行送り・本文のフォントは設定「小説 — 組版と出力」で変えられます。

 長い夜がようやく終わりを告げていくのだ
。そのときに、彼はしずかにこう呟いた。「
まだ続きがある」と彼は思った。
禁則処理なし
 長い夜がようやく終わりを告げていくのだ。
そのときに、彼はしずかにこう呟いた。「ま
だ続きがある」と彼は思った。
禁則処理あり(既定)
 吾輩わがはいは猫である。名前はまだ無い。
 どこで生れたかとんと見当けんとうがつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣い
ていた事だけは記憶している。吾輩はここで始めて人間というものを見た。しかもあとで
聞くとそれは書生という人間中で一番獰悪どうあくな種族であったそうだ。この書生というのは
時々我々を捕つかまえて煮にて食うという話である。しかしその当時は何という考もなかったから
別段恐しいとも思わなかった。ただ彼の掌てのひらに載せられてスーと持ち上げられた時何だか
フワフワした感じがあったばかりである。掌の上で少し落ちついて書生の顔を見たのがい
わゆる人間というものの見始みはじめであろう。この時妙なものだと思った感じが今でも残ってい
る。第一毛をもって装飾されべきはずの顔がつるつるしてまるで薬缶やかんだ。その後ご猫にもだ
いぶ逢あったがこんな片輪かたわには一度も出会でくわした事がない。のみならず顔の真中があまりに
突起している。そうしてその穴の中から時々ぷうぷうと煙けむりを吹く。どうも咽むせぽくて実に
弱った。これが人間の飲む煙草たばこというものである事はようやくこの頃知った。
 この書生の掌の裏うちでしばらくはよい心持に坐っておったが、しばらくすると非常な速力
で運転し始めた。書生が動くのか自分だけが動くのか分らないが無暗むやみに眼が廻る。胸が悪
くなる。到底とうてい助からないと思っていると、どさりと音がして眼から火が出た。それまでは
記憶しているがあとは何の事やらいくら考え出そうとしても分らない。
 ふと気が付いて見ると書生はいない。たくさんおった兄弟が一疋ぴきも見えぬ。肝心かんじんの母親
さえ姿を隠してしまった。その上今いままでの所とは違って無暗むやみに明るい。眼を明いていられ
ぬくらいだ。はてな何でも容子ようすがおかしいと、のそのそ這はい出して見ると非常に痛い。吾
輩は藁わらの上から急に笹原の中へ棄てられたのである。
 ようやくの思いで笹原を這い出すと向うに大きな池がある。吾輩は池の前に坐ってどう
したらよかろうと考えて見た。別にこれという分別ふんべつも出ない。しばらくして泣いたら書生
がまた迎に来てくれるかと考え付いた。ニャー、ニャーと試みにやって見たが誰も来ない。
そのうち池の上をさらさらと風が渡って日が暮れかかる。腹が非常に減って来た。泣きた
くても声が出ない。仕方がない、何でもよいから食物くいもののある所まであるこうと決心をして
そろりそろりと池を左ひだりに廻り始めた。どうも非常に苦しい。そこを我慢して無理やりに
這はって行くとようやくの事で何となく人間臭い所へ出た。ここへ這入はいったら、どうにかな
ると思って竹垣の崩くずれた穴から、とある邸内にもぐり込んだ。縁は不思議なもので、もし
この竹垣が破れていなかったなら、吾輩はついに路傍ろぼうに餓死がししたかも知れんのである。一
樹の蔭とはよく云いったものだ。この垣根の穴は今日こんにちに至るまで吾輩が隣家となりの三毛を訪問す
る時の通路になっている。さて邸やしきへは忍び込んだもののこれから先どうして善いいか分らな
い。そのうちに暗くなる、腹は減る、寒さは寒し、雨が降って来るという始末でもう一刻
の猶予ゆうよが出来なくなった。仕方がないからとにかく明るくて暖かそうな方へ方へとあるい
て行く。今から考えるとその時はすでに家の内に這入っておったのだ。
吾輩は猫である
1 / 1
罫線を「赤」に、行番号をオンに、行送りを 2 倍にして印刷した例(夏目漱石『吾輩は猫である』・青空文庫より)

用紙は A4(既定)か A6。本文のフォントの既定は OS 付属の明朝体で、印刷所への入稿も、頒布・販売もそのままできます。

機能の多さよりも、
執筆の邪魔をしないこと。

  1. AI は使いません

    執筆のための AI 機能を一切持ち込みません。.jpnov・.jpbook を開いている間は GitHub Copilot も既定で無効になります。執筆は最初から最後まで、人間の手で。

  2. 辞書を持ちません

    単語辞書から「これは人名らしい」と推測して色を付けるような機能は、あえて持ちません。目立たせたい言葉は、作者自身が登録します。辞書を積み込まないぶん、動作も軽いままです。

  3. 入れたら、それだけで動きます

    追加のソフトも、プログラムの知識も要りません。プレビューも本づくりも手元のパソコンの中だけで完結するので、オフラインでも使え、原稿がどこかへ送られることもありません。

  4. 原稿を囲い込みません

    原稿はただのテキスト、記法は昔からある青空文庫の注記です。章のファイルは .jpnov、本のファイルは .jpbook。この拡張機能が働くのは、この 2 種類のファイルだけです。

はじめかた

VS Code に慣れていなくても大丈夫です。

  1. VS Code を入れる

    無料でダウンロードして、インストールします。拡張機能「Japanese Language Pack」を入れると、画面が日本語になります。

  2. 「jpnov」を入れる

    拡張機能の検索欄に jpnov と入力してインストールします。原稿を入れるフォルダーを作り、開きます。

  3. 本を作って、書く

    アクティビティ バーの「小説」を開き、「本の一覧」の「本を作成…」で本を作ります。「新しい章…」で章を書き、「プレビューを横に開く」で確かめ、「印刷/PDF 保存」で本にします。

VS Code Marketplace で入手する VS Code をダウンロード

同じ流れは、VS Code の「ようこそ」画面にあるガイド「小説をはじめる」でも案内しています。

Japanese Novel

  • VS Code Marketplace
  • GitHub
  • README(日本語)
  • README (English)
  • MIT License

本文の見本は夏目漱石『吾輩は猫である』(青空文庫)。画面のアイコンは Codicons(Microsoft、CC BY 4.0)。